2012年06月22日
「人生は最後の砦の先にある」~致知~
『致知』2012年5月号 連載「20代をどう生きるか」より
河原成美(力の源カンパニー社長、ラーメン店「一風堂」創業者)
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どん底からスタートした私の商売人生も、
「アフター・ザ・レイン」を軌道に乗せ、30代に入ると
「綺麗な女性が集まる、おしゃれでカッコイイラーメン屋」
というコンセプトのもと、「博多 一風堂」を創った。
「35歳までに天職に就く」という誓いも、ここで達成したといえる。
1990年代には『TVチャンピオン』の「ラーメン職人選手権」で
3連覇を果たし殿堂入り。既に全国展開していた
「一風堂」の名前も広まる一方で、ニューヨークや香港など
海外にも進出した。
「なぜ、商売が成功したのか」
この質問に対して、私は必ずこう答えている。
「常に自分との約束を愚直に守り続けたから」
「それだけですか? 本当はもっと凄い経営テクニックがあるのでは?」
と言う人もいる。
しかし、そんなものはどこにもない。
自分が信じたことを愚直にやり通す。
その素直さが大切だと思う。
とはいえ、皆一様に決意はするものだ。
例えば、「今年こそ朝は一番に出社して、英語の勉強をして、
日記も書いて、ダイエットもして……」。
そうしてトライしてみるが、1つやめ、2つやめ、3つやめて、
結局はすべて投げ出し「あ~あ、やっぱり俺ってダメだな」
と、ますます自分を信じられなくしているように思う。
特に20代は未熟で、自分自身をコントロールできないところがある。
だからこそ決め事は1つか2つに絞って、それを確実にやり遂げることだ。
仮に10の決め事にトライして達成したりしなかったりする5年と、
1つのことを毎年確実にやり遂げる5年。
どちらが自分への信頼を深めるかは明白だろう。
中には20代で起業して、成功を収める人もいるだろう。
しかし、世の中の多くはそうじゃない。ほとんどが凡人だ。
凡人は5つも6つも決め事は守れない。
だからこそ1つでいいから、「これが自分の人生の最後の砦」
という覚悟で守り抜くことだ。
その砦の先は断崖絶壁ではない。
意味ある人生、実りある人生とは、その砦の先にしか
開けていかないのである。
Posted by 木鶏 at 21:00│Comments(0)
│致知(生き方・人生観)