2013年04月16日
【天に預ける】
『致知』2013年4月号
特集「渾身満力」(こんしんまんりき) 総リードより
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天保10(1839)年に生まれ、
TOTO、日本ガイシ、ノリタケなどの母胎となった
森村グループを創業した森村市左衛門は、
明治40年、68歳の時にある雑誌に
要旨次のような談話を発表している。
「人は正直に全心全力を尽くして、
一生懸命に働いて、天に貸してさえおけば、
天は正直で決して勘定違いはありません。
人ばかりを当てにして、
人から礼を言われようとか、褒められようとか、
そんなケチな考えで仕事をしているようでは、
決して大きなものにはなりません。
労働は神聖なもので、
決して無駄になったり骨折り損になどならない。
正直な労働は枯れもせず腐りもせず、
ちゃんと天が預かってくれる。
どしどし働いて、できるだけ多く
天に預けておく者ほど大きな収穫が得られる。
私は初めからこういう考えで、
ただ何がなしに天に貸すのだ、
天に預けるのだと思い、今日まで働いてきたが、
天はいかにも正直。
三十年貸し続けたのが、
今日現にどんどん返ってくるようになりました」
現代は損得を基準に生きている人が多いが、
昔の人は尊徳を基準に生きていたことを、
2人の先人の言葉は証している。
なんの資源もない国が今日の繁栄を得たことと
先人たちが示した生き方とは、無縁ではない。
私たちも天に徳を積むべく
渾身満力の生き方を心掛けたいものである。
それが自己を生かす道であるだけでなく、
人を生かす道にもなる。
Posted by 木鶏 at 21:00│Comments(0)
│致知(生き方・人生観)