2012年10月04日
「支払い日、人生で一番楽しい日」(中篇)
(前編)からのつづき
『致知』1999年2月号「致知随想」
五十嵐勝昭 (五十嵐商会社長)
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体を動かして働く。それはだれの目にもわかることです。
このことが、あいつは一所懸命だという評価になって、
信用を築く一助になったのではないかと思っています。
そのほかにもう一つ、意識して心がけたことがあります。
そしてそれが、これまで赤字を出さずにやってこられた
ポイントではないかと考えています。
それは、支払いは楽しくするということです。
何を馬鹿な、と言われるかもしれません。
いつも楽しく支払いができるようだったら世話はない。
資金繰りに詰まってお金がなく、
支払いができないような状況がしばしばある。
楽しく、などと言っていられない場合が起こる。
それが商売というものではないか、
という声が聞こえてきそうです。
確かにそうかもしれません。
しかし、本当でしょうか。
会社を興すとき、私は加わっている
倫理法人会の人に助言を求めました。
「約束を守りなさいよ。
その中でも特に支払いの約束を命がけで守りなさい」
言われたのは、これだけでした。
しかし、これこそが商売の根幹と、深く胸に刻みつけました。
私はサラリーマンとして信用金庫に勤めていました。
内勤も外勤も経験して、商売を営んでいる多くの人を見てきました。
そして、支払いを渋ったり先延ばしする傾向が強いところは、
やがて経営に破綻をきたすことが多いことも知りました。
商売を営むからには支払いは必須のものです。
そして、支払いを受ける側にとっては、
それが大きな楽しみであり、喜びです。
それなら支払いの期限は絶対に守って、
楽しく支払うようにしよう。
私はそれを強く心に誓ったのでした。
(つづく)
Posted by 木鶏 at 21:00│Comments(0)
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