2013年05月06日
【最も難しく、かつ最も大事なこと】
水戸岡鋭治(工業デザイナー)
『致知』2013年5月号 特集「知好楽」より
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私は、働くとは即ち人にサービスをすることだと思うんですね。
人のことを考えられるのは能力が高いということであり、
幸福になれる基本ではないかと。
だから私の事務所では十名ほどスタッフがいるんですが、
来客の予定があると「こういう人でこのくらいの年齢だ」
とだけ話してお弁当を買いに行かせます。
お客様のことを考え、いかによい弁当を買うことができるか。
それができない者によいデザインはできません。
お客様には一時間おきにお茶を出し、
三時にはおやつを、夜には夜食を用意する。
だから会議があると大変で、社員はデパートへ買い出しに、
お茶出しにと、一日中走り回っています(笑)。
会議とはどういうものであるかが
若い人にはなかなか分からないようですが、
いいお茶が出たり、いいお菓子が出るといい会議ができる。
だから新人は皆それを一年なり二年なり一日中やるんです。
おいしいお茶がはいるとお客様も長居をされますから、
豊かなコミュニケーションができて、
よい信頼関係が生まれるんですね。
だから若い子によく言うんですが、
絵を描いたりコンピュータを動かしたり、
そんなことはいつでもできるよと。
新人の時にお茶出しをやったり、
弁当を買いに行ったりしたことが、後でどれほど役に立つか。
棚から食器を出して、
どれをどう使うか考えているだけでも
センスを磨ける。
つまりデザインセンスはテーブルの上だけで
ほとんど磨けるんですね。
最も難しく、かつ最も大事なことが
人にサービスをすることですから。
Posted by 木鶏 at 21:00│Comments(0)
│致知(仕事・プロ観)
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