2012年04月02日
「人間の底に光る素晴らしいもの」~致知~
『致知』2012年4月号 特集「順逆をこえる」より
鈴木秀子(文学博士) 対談「人生の幾山河をこえて見えてきたもの」
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『旧約聖書』に「ヨブ記」というものがあります。
ヨブは義人と呼ばれるほど真面目な人だったのに、財産を失い、
家族は殺され、友人は去り、その上体中が蝕まれるというように、
人間が味わいうるあらゆる苦しみを味わうんですね。
その間、ヨブは神を呪い続けました。
「神よ、あなたは全知全能なのに、
なぜこんな苦しみを自分に与えるのですか」と。
しかし、神は何も答えてはくれない。
そして最後に力尽きてしまった時、
沈黙を続けていた神の声を初めて聞くんですね。
それは「ヨブよ、苦労したね。大変だったね」
という慰めの言葉ではなく、
「ヨブよ、帯して立ち上がれ」という言葉でした。
帯をすると誰でもシャキッとする。
そのように自分をシャキッと整えて力強く立ち上がりなさい
という言葉だったんです。
ヨブはこれを聞いた時、
「ああ、自分は裸でこの世に生まれ、
裸でこの世から去っていかなくてはいけない。
神に命を与えられ、たくさんの恩恵を受けながら
生かされている存在なんだ」と気づき、
「その恩をこれからは他の人に返していこう」と誓うわけですね。
だから、誰だって辛くてたまらない時はあるけれども、
でも生きるのは苦しくて当たり前。
心が動揺しそうな時は、環境や人のせいにしたりするのではなくて、
自分の内面を整え、人間の底に光る素晴らしいものを見出しながら
希望を持って生きていく。
その時に、自分に必要ないい環境が引き寄せられ、
天に計らわれていくのではないかと思います。
Posted by 木鶏 at 12:42│Comments(0)
│致知(大切なこと)