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2012年08月08日

「子供たちのために生きる無名の母たち」~致知~


 『致知』1986年4月号掲載
  東井 義雄(教育者)
◇─────────────────────────────────◇
 子供は小学校2年生の女の子。
 農村に住んでいます。
 この子は、学校から一目散に家に帰っていきます。
 家に帰ったらお母さんが待っていてくれる。
 やさしい顔で、自分を迎えてくれる。
 そして「お腹すいたやろ、お食べ」といって
 手づくりのおやつを出してくれる。
 それが楽しくて、この女の子は家に帰っていくのです。
 しかし農業という仕事は、母親も貴重な労働力です。
 たいていは夫、義父、義母などとともに、田畑に行って
 農作業に従事しているのが、日本の農家の母親の皆さんです。
 女の子の母親も例外ではありません。

 一目散で家に帰ってみたら、
 案の定家の木戸は閉まっていました。
 これは、お母さんが留守という証拠です。
 女の子は、ちょっぴりがっかりしました。
 そして、「よいしょ!!」と声をかけて戸を開き、
 家のなかに入りました。
 家のなかに入って、びっくりしました。
 土間いっぱいに何か描かれています。
 お母さんの顔だ。
 消し炭でお母さんが書いてくれたんだ。
 その隣には字が書いてある。
「お帰り。
 お母さんは焼畑に出かけています。
 戸棚のなかにおやつが入っているから、
 それを食べて待っててね」
 女の子は嬉しくなりました。

 そして自分も消し炭をもってきて、
 お母さんの顔のよこに、ちいちゃく自分の顔を描きました。
 リボンをつけた女の子です。
 その子に手を描き加えました。
 手はお母さんの肩のところまでいき、
 肩たたきをしています。
 書き終えた女の子は満足でした。
 お母さんがいなくても、ちっとも寂しくありませんでした。
 手を洗い、戸棚からおやつをとりだし、
 食べながらずっと土間に描かれたお母さんと、
 リボンをつけた自分の絵を見て、
 お母さんが帰ってくるのを待っていました。

 この女の子の母親は、どんな気持ちで
 学校から自分の子供が帰ってくるかを知っています。
 また、子供も、そんな母親の気持ちを十分理解しています。
 この母親もまた無名です。
 しかし、なんとすばらしいお母さんでありましょう。

 夕方になって、焼畑から帰ってきた母親は、
 土間に描き加えられたもう1つの小さな顔をみて、
 きっと嬉しくなったことでしょう。
 その晩の食事は、消し炭の母子像の話題で、
 きっと賑やかになったであろうことが想像できます。

 そこには家庭があります。
 子供を育む母の愛があふれています。

 私はこの話を、その女の子の作文から知りました。
 いい話だなァ、
 と胸のなかがじわじわと
 暖かくなっていく気がしました。



   一昔二昔前の話でしょうが、
   このように愛情を注ぎ合いながら育った子供には
   今の世の親殺し子殺しなど無縁のことでしょう。
   この子供が親になった時、自分が与えられたのと
   同様に愛情を注ぐでしょうから。


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